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ニ.薬物事犯取締り能力
ホ.薬物鑑定能力
(2)参加専門家の選定に当たり、これまで国連麻薬委員会、UNDCP専門家会合等の場において、海上における薬物不正取引の取締り分野の国際協力に関し、日本国の海上保安庁が米国沿岸警備隊とともに主導的な役割を果たしてきた点を評価し、海上保安庁の専門家の参加を要請するものである。
とのことでしたが、海上保安庁の専門家がクロアチアの税関の薬物取締り対策を調査することについて依然として疑問が残っていたため、欧州各国の海上における薬物の不正取引の取締り体制を事前に調べてみたところ、我が国や米国とは異なり、陸上の警察以外に独自の海上警察機関を制度的に有していない欧州諸国においては、海上における薬物の不正取引の取締りを行っているのは、税関が主体となって行っていることが判明したのです。そこで、再度、UNDCPに対し、調査すべき事項をより具体的かつ明確にするよう求めたところ、税関全体の調査は他の専門家が行うことになっており、当庁の専門家は税関の海上取締りの部分だけを調査すれば良いとの回答を得たことから、ようやく参加の可否の判断が可能となった訳です。最終的に本庁内で検討した結果、当庁にとってこのような国際協力は初めてではありますが、当庁の国際協力の幅が質的、地理的にも拡大することなどを考慮して、同調査ミッションに私を参加させることとなった次第であります。
なお、旧ユーゴスラビアから分離独立したクロアチアを含む新興国に対する国連主導の復興援助計画が進められている中で、我が国外務省としても、従来の資金のみの援助に人的貢献も含めて積極的に進めていきたいとの強い意向を有していたことから、同省からも積極的な参加要請があったことも事実でした。
 
2.クロアチアとは
以上の経緯でこの調査ミッションに参加することになった訳でありますが、ところで、クロアチアはヨーロッパのどこにあるのか、一体どんな国なのか全く知識が無かったのが実情であります。慌てて、世界地図で調べてみたり、外務省の東欧課から資料を取り寄せてみたり、書店で関連の書物を探すことから始めなければなりませんでした。
しかしながら、1996年6月に旧ユーゴから分離独立したばかりで我が国の大使館も
 

 

 

 

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